時代劇スタッフ人別帳 「い」
伊佐山 巌いさやま・いわお 〈撮影〉
伊佐山巖 伊佐山厳
1930年11月8日生
経歴等々資料がなくて何も記せない(お名前の正確な読みさえ!)のが甚だ心苦しいのだが、中村プロを中心に一時代の東京時代劇を支えた功労者に相違ないので敢えて不完全ながらここに挙げさせて戴く。
戦前から活躍していた日活の名カメラマン・伊佐山三郎氏と同姓で何か関係あるのか気になっていたが、このほど高瀬昌弘監督の著書『昭和千本のドラマたち』を読んでいてようやく判明。三郎氏に見込まれて養子になっていたとのことである。
なお、女優・伊佐山ひろ子は関係ない(はず……)。(2014/03/23)〈補〉 その後、資料を発掘して経歴を知ることができた(ルビも「いわお」としてある!)のでここに記す。日本映画撮影監督協会(J.S.C.)機関誌『映画撮影』第35号に、この人が新入会員として紹介されており、その略歴――
東京都出身。1949年法政大学を中退し、翌1950年大映へ入社。1954年から日活へ移る。この号の段階では1969年~日活芸能に所属となっているが、同誌のもっと後の号を見るとフリーになっているようである。
第1回担当作品は1967年のテレビ『若草物語』とある。その他この機関誌に記されている作品も、不詳ながら下のリストに加えて掲載する。(2014/04/15)〈担当作品 映画〉
・1979年 『悪魔が来りて笛を吹く』(東映東京)『戦国自衛隊』(角川春樹事務所/配=東宝)
・1995年 『鬼平犯科帳』(松竹/フジテレビ)〈担当作品 テレビ・連続〉
・1967年? 『若草物語』
・1967年? 『愛妻くん』
・1968年? 『セッカチネエヤ』
・1969年? 『犬と麻ちゃん』
・1969年? 『乱れそめにし』
・1971/10/02~1971/12/25 『浮世絵 女ねずみ小僧(1)』制作=C・A・L(協力=日活芸能)
・1973/10/02~1974/03/26 『水滸伝』制作=国際放映
・1974/07/06~1974/09/28 『大盗賊』制作=フジテレビ/丹波プロダクション/国際放映
・1975/04/06~1975/09/28 『長崎犯科帳』制作=ユニオン映画(協力=中村プロダクション)
・1976/04/04~1976/09/26 『子連れ狼(3)』制作=ユニオン映画/スタジオシップ(協力=中村プロダクション)
・1977/05/02~1977/12/26 『ご存知女ねずみ小僧』制作=松竹/フジテレビ
・1977/07/30~1977/08/20 『横溝正史シリーズ 獄門島』制作=毎日放送/東宝
・1978/10/03~1979/03/27 『破れ新九郎』制作=テレビ朝日/中村プロダクション
・1979/04/16~1979/12/24 『赤穂浪士』制作=テレビ朝日/東映/中村プロダクション
・1980/04/01~1980/09/30 『鬼平犯科帳(1)』制作=テレビ朝日/東宝/中村プロダクション
・1981/04/14~1981/10/13 『鬼平犯科帳(2)』制作=テレビ朝日/東宝/中村プロダクション
・1982/03/03~1983/06/02 『柳生新陰流』制作=テレビ東京/中村プロダクション
・1983/04/05~1984/03/27 『大奥』制作=関西テレビ/東映
・1984/10/02~1985/03/26 『暴れ九庵』制作=関西テレビ/東宝
・1987/01/06~1987/12/22 『銭形平次』制作=ユニオン映画
・1989/07/12~1990/02/21 『鬼平犯科帳(1)』制作=フジテレビ/松竹(協力=京都映画)
・1990/10/03~1991/03/27 『鬼平犯科帳(2)』制作=フジテレビ/松竹(協力=京都映画)
・1990/10/12~1991/03/29 『大江戸捜査網(橋爪淳1)』制作=テレビ東京/G・カンパニー
・1991/11/20~1992/05/13 『鬼平犯科帳(3)』制作=フジテレビ/松竹(協力=京都映画)
・1992/12/02~1993/05/12 『鬼平犯科帳(4)』制作=フジテレビ/松竹(協力=京都映画)
・1994/03/09~1994/07/13 『鬼平犯科帳(5)』制作=フジテレビ/松竹(協力=京都映画)
〈担当作品 テレビ・単発〉
・1981/01/02 『それからの武蔵』制作=東京12チャンネル/中村プロダクション
・1982/01/02 『竜馬がゆく』制作=テレビ東京/中村プロダクション
・1982/11/26 『闇の傀儡師』制作=東映/フジテレビ
・1984/03/01 『子連れ狼』制作=東映/フジテレビ
・1988/08/06 『夢と承知で 鼠小僧大江戸青春絵図』制作=日本テレビ/ユニオン映画
・1993/10/29 『松本清張の異変街道』制作=フジテレビ/霧企画(協力=京都映画)
岩佐 一泉いわさ・いずみ 〈撮影〉
1915年12月15日生 1984年7月10日没(享年68歳)
テレビドラマのクレジットを見ていると、日活出身のスタッフ陣はかなり幅広く息の長い活動をしている人が多い印象を受ける。監督、脚本家はもとよりキャメラマンや照明技師なども含め、日活がロマンポルノに軸足を移した際に見切りをつけ、テレビに活路を見出していった人々である。散り散りになった後もそれぞれ仕事を掴み、多岐に渡る会社、ジャンルに手腕を発揮していった彼らの逞しさに思いを馳せるとき、何とはなし「日活のタフガイは裕次郎だけじゃなかったのだ」と強く感じずにはいられない。
この人もそんなひとりだろう。杉良時代劇では専属であるかのように名前を見かける。日活繋がりの縁であろうか。しかし元々は新東宝の出身のようであるが、詳しい経歴は分からない。『著作権台帳』で生没年と東京都出身であることのみ掴めたので、中途半端ながらここに掲載する。(2017/11/23)〈担当作品 映画〉
・1955年 『一寸法師』(新東宝)『りゃんこの弥太郎』(新東宝)
・1957年 『鷲と鷹』(日活)『嵐を呼ぶ男』(日活)
・1960年 『男の怒りをぶちまけろ』(日活)
・1961年 『黒い傷あとのブルース』(日活)
・1964年 『帝銀事件 死刑囚』(日活)
・1965年 『泣かせるぜ』(日活)
・1966年 『夜霧の慕情』(日活)
・1968年 『忘れるものか』(日活)
・1969年 『傷害恐喝前科十三犯』(日活)
〈担当作品 テレビ・連続〉
・1970/10/03~1971/09/25 『大江戸捜査網(杉良太郎1)』制作=東京12チャンネル/日活
・1972/10/04~1973/09/19 『パパと呼ばないで』制作=ユニオン映画
・1973/10/03~1974/03/27 『雑居時代』制作=ユニオン映画
・1974/04/03~1975/03/26 『右門捕物帖(杉良太郎1)』制作=NET/東映(協力=歌舞伎座テレビ室)
・1977/10/18~1982/11/16 『新五捕物帳』制作=ユニオン映画
・1982/11/23~1983/09/06 『右門捕物帖(杉良太郎2)』制作=ユニオン映画/杉友プロダクション
※(参照:#23)
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