時代劇スタッフ人別帳 「く」
胡桃 哲くるみ・さとし 〈脚本〉
1938年生
金さんや長七郎、暴将など、ご存じものの脚本をかなり多数書いている人である。それも小川英はじめ他のライターとの共作が殆どという印象。90年代末からは小説家に転じており、本名の「胡桃哲」名義では仮想戦記ものを、また「城駿一郎」名義で時代小説を執筆。
小説デビュー作である『極秘指令 幻のメッサーシュミット輸送作戦』(1998年/光文社カッパ・ノベルス)の著者略歴からプロフィールを引くと、東京都出身。早稲田大学文学部卒。広告会社勤務を経て脚本家になったとある。
いわゆるマンネリ系統のご存知ものの仕事が多い分、評価されにくいところがありそうだが、担当回はまず安定の水準。それどころか単独執筆のときには意外とハード路線の作風であるのが分かる。吉外＠サイト主の乏しい視聴記録から例を拾い上げると、『お助け同心が行く！』全12話中ベストの傑作といえる第7話「名刀、辻斬り」や『大江戸捜査網』松方弘樹版第2期で朝加真由美が暗殺者に仕立てられる第3話「凶弾！白い肌の狙撃者」、テコ入れ後で新鮮だった『暴れん坊将軍(9)』の中でも救いの無さが印象に残る第32話「母なればこそ 椿の花は知っていた」など、隠れた名作が多い。そうそう忘れちゃならないのが『暁に斬る！』最大の問題作とも言える第19話「（秘）尼寺の闇をあばけ」（これは小川英と共作)である。悪役がレズ尼僧と小林稔侍で、山城新伍が擬似レイプのあの回と言えば分かる人は分かるハズ。
小説のほうも、読者を楽しませるサービスたっぷりのエンタテインメントになっているのは、さすが娯楽作品シナリオライターの面目躍如といったところ。城駿一郎名義での小説『鏡四郎活殺剣』なんか読んでみると、名作映画『十三人の刺客』の向こうを張ったうえ『ジャッカルの日』を混ぜ込んだかのようなスケールの大きい活劇で楽しめる。(2015/11/09)〈訂正〉 上記文章に間違いがあったので訂正。『暁に斬る！』山城新伍が擬似レイプの問題作は第18話「亭主一人に女房が三人」でした。申し訳ありません。ちなみにこの回の脚本は村尾昭氏。この人も色々と凄いの書くなァ……。(2017/02/09)
〈担当作品 映画〉
・1979年 『隠密同心 大江戸捜査網』(東京12CH/配=東宝)
〈担当作品 テレビ・連続〉
・1970/07/12～1973/09/30 『遠山の金さん捕物帳』制作＝NET/東映
・1971/10/07～1972/03/30 『弥次喜多隠密道中』制作＝歌舞伎座テレビ室
・1972/01/04～1973/03/27 『荒野の素浪人(1)』制作＝NET/三船プロダクション
・1972/07/21～1986/11/14 『太陽にほえろ！』制作＝東宝(協力=国際放映/渡辺企画)
・1974/01/01～1974/09/26 『荒野の素浪人(2)』制作＝NET/三船プロダクション
・1974/03/23～1979/09/15 『大江戸捜査網(里見)』制作＝東京12チャンネル/三船プロダクション
・1975/04/06～1975/09/28 『長崎犯科帳』制作＝ユニオン映画(協力＝中村プロダクション)
・1976/04/03～1976/09/25 『隠し目付参上』制作＝毎日放送/三船プロダクション
・1976/04/28～1974/09/22 『人魚亭異聞 無法街の素浪人』制作＝NET/三船プロダクション
・1976/10/02～1977/03/26 『江戸特捜指令』制作＝毎日放送/三船プロダクション
・1978/01/10～1978/09/26 『江戸の鷹 御用部屋犯科帖』制作＝テレビ朝日/三船プロダクション
・1979/09/22～1982/09/25 『大江戸捜査網(松方弘樹1)』制作＝東京12チャンネル→テレビ東京/三船プロダクション
・1982/10/02～1983/09/27 『大江戸捜査網(松方弘樹2)』制作＝テレビ東京/ヴァンフィル(協力=三船プロダクション)
・1982/10/05～1983/03/29 『暁に斬る！』制作＝関西テレビ/ヴァンフィル(協力=三船プロダクション)
・1983/10/04～1984/03/31 『大江戸捜査網(松方弘樹3)』制作＝テレビ東京/ヴァンフィル
・1983/10/18～1986/12/23 『長七郎江戸日記(1)』制作＝ユニオン映画/六本木オフィス(協力=東映太秦映像)
・1984/04/07～1984/09/29 『新大江戸捜査網』制作＝テレビ東京/ヴァンフィル
・1985/10/15～1986/09/16 『遠山の金さんII』制作＝テレビ朝日/東映
・1987/01/06～1987/12/22 『銭形平次』制作＝ユニオン映画
・1987/04/09～1987/09/17 『傑作時代劇』制作＝テレビ朝日/東映
・1987/10/22～1988/03/31 『三匹が斬る！』制作＝テレビ朝日/東映
・1988/01/05～1989/09/26 『長七郎江戸日記(2)』制作＝ユニオン映画(協力=東映太秦映像)
・1988/01/09～1990/09/29 『暴れん坊将軍III』制作＝テレビ朝日/東映
・1988/04/21～1988/11/24 『名奉行遠山の金さん(1)』制作＝テレビ朝日/東映
・1988/10/14～1989/03/31 『隠密 奥の細道』制作＝G・カンパニー
・1988/12/01～1989/05/11 『続 三匹が斬る！』制作＝テレビ朝日/東映
・1989/05/25～1989/11/30 『名奉行遠山の金さん(2)』制作＝テレビ朝日/東映
・1989/10/10～1990/10/02 『八百八町夢日記(1)』制作＝ユニオン映画(協力=東映太秦映像)
・1990/07/05～1991/03/28 『名奉行遠山の金さん(3)』制作＝テレビ朝日/東映
・1990/10/13～1991/03/30 『将軍家光忍び旅』制作＝テレビ朝日/東映
・1990/10/16～1991/09/24 『長七郎江戸日記(3)』制作＝ユニオン映画(協力=東映太秦映像)
・1991/04/06～1992/09/26 『暴れん坊将軍IV』制作＝テレビ朝日/東映
・1991/10/08～1992/09/15 『八百八町夢日記(2)』制作＝ユニオン映画(協力=東映太秦映像)
・1991/11/07～1992/07/02 『名奉行遠山の金さん(4)』制作＝テレビ朝日/東映
・1992/10/03～1993/03/20 『将軍家光忍び旅II』制作＝テレビ朝日/東映
・1993/03/04～1993/12/16 『名奉行遠山の金さん(5)』制作＝テレビ朝日/東映
・1993/03/09～1993/12/21 『闇を斬る！大江戸犯科帳』制作＝ユニオン映画(協力=東映太秦映像)
・1993/04/03～1994/03/26 『暴れん坊将軍V』制作＝テレビ朝日/東映
・1993/04/09～1993/06/25 『お助け同心が行く！』制作＝テレビ東京/Ｇ・カンパニー
・1994/06/09～1995/01/19 『名奉行遠山の金さん(6)』制作＝テレビ朝日/東映
・1994/10/08～1996/01/20 『暴れん坊将軍VI』制作＝テレビ朝日/東映
・1996/07/13～1997/01/25 『暴れん坊将軍VII』制作＝テレビ朝日/東映
・1997/07/12～1997/03/07 『暴れん坊将軍VIII』制作＝テレビ朝日/東映
・1998/11/07～1999/09/30 『暴れん坊将軍(9)』制作＝テレビ朝日/東映
〈担当作品 テレビ・単発〉
・1991/01/02 『寛永風雲録 激突！知恵伊豆対由比正雪』制作＝ユニオン映画(協力=東映太秦映像)
・1991/10/10 『名奉行遠山の金さんスペシャル 江戸城転覆！ 女忍者の復讐』制作＝テレビ朝日/東映
※13（参照：#13）
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